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心理的安全性を意識しよう

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フィードバックを行うフィードバックを受け取る、どちらにおいても重要なのは、「自分の考えや気持ちを表明しても、拒絶されたり罰せられたりしない」と思えるお互いの信頼関係です。

近年、「心理的安全性」という言葉が広く知られるようになりました。ハーバード大学のエドモンドソン教授が打ち立てたこの概念は、

チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクを取っても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと。

と定義され、心理的安全性が高い組織やチームほどパフォーマンスが向上することも分かっています。フィードバックを積極的に活用できる組織は、この心理的安全性が高い組織と言えるでしょう。


組織における対人関係リスク

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心理的安全性が不足している環境では、次の4つの不安が惹起されやすいと言われています。程度の差こそあれ、みなさん感じたことがあるのではないでしょうか。

このような不安から、心理的安全性の低いチームでは自由な発言がしにくかったり新しく何かに挑戦することに消極的だったりと、イノベーションに繋がるアクションが取りにくいのです。

4つの不安 それにより生じる行動の例
無知 だと
思われる不安
⇒ 質問すると「こんなことも分からないなんて」と思われないか不安になり、必要な質問や相談ができない。
無能 だと
思われる不安
⇒ 失敗した際「こんなこともできないのか」と思われないか不安になり、些細なミスでも隠したり自分の考えを言わない。
邪魔 をしている
と思われる不安
⇒ 自分の発言により会議が長引くと周囲から「邪魔をしてくる」と思われないかと不安になり、発言や提案をしない。
ネガティブだと
思われる不安
⇒ 状況改善のための発言であっても、周囲に「いつも他人の意見を否定する」「消極的・否定的だ」と思われたくないため、少しでも否定的な意味合いのある意見を発言しない。

心理的安全性の高め方

心理的安全性は、いわば組織の文化や雰囲気に関係するもの。一朝一夕に向上するものではなく、メンバー1人1人の意識の持ち方や、日々のコミュニケーションの積み重ねが重要です。

「心理的安全性のつくりかた」の著者である石井遼介氏は、日本の組織では次の4つの因子があると心理的安全性が感じられる、と指摘しています。

※ 「心理的安全性のつくりかた」:日本能率協会マネジメントセンター出版(2020年)

話しやすさ

問題に気付いたら、すぐに声をあげられる。知らない・わからないことがあったらすぐに尋ねられる。

「何を言っても大丈夫」

⇒  報告がネガティブな内容であっても、隠すことなく「事実は事実」としてあがってくるようになる。

助け合い

問題が生じた際、人を責めるのではなく建設的解決策を考える。減点主義ではなく加点主義である。

「困ったときはお互い様」

⇒  トラブルに迅速確実に対処でき、アウトプットが高まる。

挑戦

前例や実績がないものでも取り入れる。挑戦は“損”ではなく“得”と思える。

「とりあえずやってみよう」

⇒  時代の変化に合わせて柔軟に対応し、新しいチャンスをつかむことできる。

新奇歓迎

常識に囚われず、多様な視点を持ち込むことが歓迎される。

「異能、どんとこい」

⇒  役割に応じて、強みや個性を発揮することが歓迎される。そうすると、一人一人が有している能力を最大限に発揮することができる。


これらを組織に根付かせるには、「望ましい行動が見られたら、その行動を強化すること」(=“ポジティブフィードバック” )が欠かせません。

心理的安全性に欠ける組織では、例えば新しいアイディアが出てきた際「でも、前例がないからね」といった反応でイノベーションの芽を潰します。加えて「新しいアイディアを言うだけ無駄だ」というネガティブな学習を、本人だけでなく周囲の人にまで生じさせてしまうのです。そのような環境では、新しいアイディアを思いついても誰も口にしなくなるでしょう。

ですから、新しい挑戦や勇気ある発言が見られた際は、まずは「その行動そのもの」に対するポジティブなフィードバック(望ましい行動の強化)が大切なのです。内容や質に関するフィードバックは、その次にしましょう。


カウンセラー

エドモンドソン教授の指摘する4つの不安は、感じること自体は自然なこと。大切なのは不安をなくすことではなく、反射的に不安になったとしても、それを感じながら「取るべきアクションが取れる」ことです。「この場でこんなことを聞いたら、どう思われるかな…」不安ながらも、勇気を出して質問することができた!それが大切なのです。

そして周囲は、本人の勇気を認め、称えてください。あなたのその行動は、いつかあなた自身にも返ってきます。その循環が、チームの心理的安全性に繋がるでしょう。



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