フィードバックの仕方
ビジネスにおけるフィードバック(feedback)とは、「行動や成果に対する評価内容を伝え、より良い結果へ導くための手法」(参照:人事労務用語辞典)のこと。みなさんも日々誰かにフィードバックをしたり、逆に自分が受けたりと、フィードバックの循環の中で業務にあたっていることと思います。
フィードバックは、
- ポジティブフィードバック
(プラスの部分を褒め望ましい行動を強化する) - ネガティブフィードバック
(改善が必要な部分を指摘し期待される状態に向けた行動変容を促す)
の2種類に分けることができます。それぞれに共通する効果は、「成長」や「新しい自分への気付き」。また、適切なフィードバックは、する人・される人の間の結びつきを強めてくれます。
フィードバックの仕方
効果的なフィードバックを行うポイントはいくつもありますが、今回は「場の設定」、「フィードバックのステップ」、「フィードバックの土台」の3つの側面からご説明します。
場の設定
- フィードバックを行う際は人前を避け、1対1で落ち着いて話ができる場を設定しましょう。
- フィードバックは、事象が発生してからできるだけ早いタイミングに行うのがベスト。
ネガティブな内容を伝える場合は、特に気を付けましょう。また、時間が経つと効果も半減します。ただし相手が感情的になっている状態では、せっかくのフィードバックも適切に受け取ってもらえません。相手の気持ちが落ち着いてから行いましょう。
フィードバックのステップ
- 目的を伝える
「スキルアップを期待しているから」、「リーダーシップを発揮してほしいから」等、何を目的にこのフィードバックを行っているのかを最初に伝えましょう。受け手側はどのような心持ちでフィードバックを受け取ればよいか、心構えができます。
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具体的に、行動に対して行う
効果的なフィードバックは、良い点・悪い点の指摘にとどまりません。「何について、どうすればよいか」を具体的に伝え、相手の行動変容(もしくは望ましい行動の強化)を促します。
例)「文章に説得力が足りないなぁ。」
⇒ ◎「具体的な数字を挙げたり、語尾の“~かもしれない”といった曖昧な言い回しを“~だ”と言い切る形に変更すると、読み手に与える説得力がアップするよ。」↓
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今後に向けた具体的な課題を、本人に行動レベルで宣言してもらう
具体的なアクションを宣言してもらうことにより、本人がフィードバックの内容をどう受け止めているかわかります。認識に齟齬があるようなら、ここで修正しましょう。また、宣言された行動は実現可能なものか、ハードルが高すぎないか等も確認しましょう。
フィードバックの土台
フィードバックは、相手の耳に痛い内容も多いもの。「受け入れ難い」と拒絶されるか「大切なことを指摘してもらった」とありがたく思われるか、分岐点となるのはやはり“日頃からの信頼関係”でしょう。人は誰しも自分のものの見方を妄信しがちですが、実際は人の数だけ多様な見方があるものです。
- 相手のものの見方や感じ方、価値観を尊重する。
- 相手に興味関心を持ち、結果だけでなくプロセスにも目を向ける。
日頃からこの2点を意識し、フィードバックの土台となる信頼関係を構築・維持したいものですね。
厚生労働省の労働経済白書(令和元年版労働経済分析)でも、フィードバックの頻度が少なかったり内容や具体性が乏しかったりすると、働きにくさを感じる人の割合が増加することが指摘されています。
フィードバックは、「相手の成長」を願い信じて、「相手のため」に行うものです。この原則を忘れずに、ポジティブ・ネガティブどちらであっても具体的な行動に焦点を当て、フィードバックを行いましょう。